
2時半に家を出て,新潟は柏崎まで出掛けました…車で日帰り。
目的は健診ボランティア。
中越沖地震が起きて,それに伴う下肢静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の検診です。
まぁ,なんでそんなのが必要かというと,被災地での生活では,車中泊・避難所生活・脱水などによって,足の静脈,特にふくらはぎの筋肉の中の静脈に血栓ができやすい状態になるのですな。
これを震災直後に見ていくのはもちろん,この時期に再発することや,ずっと抱えてることもあるので,それを診てあげるのです。
お世話になってる先生の依頼で駆けつけることになりました。
血栓のある人はその治療が必要だし,血栓ができやすい状態の人には血栓症の予防をしなければならない。
この血栓症を抱えてると,肺の血管を詰まらせて肺梗塞という致命的な病態になるから。
中越地震の時も,小千谷に同じように行きましたけどね。
この時期,今年は「日本海側は記録的な大雪」と言われてます。海に近い所は暖かく,柏崎は雨でしたが,関越トンネルを抜けてしばらくは雪でした。
往路でスゴい雪に見舞われたものの写真は撮れず…復路で少し残った雪を写真にしましたが…。
中越地震で住民にもかなり認知はされているようで,検診に訪れた方々は,スゴく心配そうにやってくる。そしてスゴくありがたがってくれる。
「お金をもらって病院で検査する」と言うのも,感謝され,患者に尽くすことではあるけど,こう言うボランティアで検査することは地域住民が心から安心して生活するためのものだから,なおのこと自分の持つ力と資格が活きるわけですよ。
検査を受けながら,今でも切々と当時のことを語るお年寄りなど,ホントに気が気でならないです。せめて自分の体だけでも元気であって欲しい。
ここでは,同じく参集している医師の確認はしてもらうものの,基本的にはその場で判断して,次の手続きや処置に回すので,技師自身の判断が基本なので,病院と違って,即座に受診者に状態を説明することになります。
問診票を診て,色々話を聞いて検査をして,その結果のアウトラインを伝えて次へ回す。
問題の無い人は心から安心して笑顔になる。もちろん注意しなきゃ行けないことも伝えるけど。
心配養素のある人は予防措置が必要なので,状態を説明して,次へ案内する。でも,心配はさせてはならないので,言葉は選んで,今後の注意も伝えて,状態を説明する。それでもありがたく思ってくれて,「そうね,気を付けなくちゃね」って笑顔で次の受付へ。
ホントに血栓がある人は,それも伝えるけど,治療のこと,注意することを伝えて,安心して今後の生活を送れるように促して,次の受付に回す。
そう言うわけで,「自分が見落とすかちゃんと拾うか」にかかっているので,スゴく気は遣う。でも,自分の出した結果には自信を持たないと相手を不安にさせる。
ただ,元々は健常者だった人ばかりなので,いわゆる「検査困難」「判断困難」と言うのは少ないので,手早く済まさなければならないものの,丁寧に診れば分かりやすいのが救い。
たまに静脈とは関係なさそうな症状を訴える方がいらしたけど,それはそれで持ち合わせている知識を総動員して助言するしかない。でも,悲しいことにきちんと診れるような病院があまりこの地域にはないらい…。まぁ,そこは「あそこに立ってる方はお医者さんだから相談してみてね」でまとめられるけど…。
ただ…非常に強く感じたこと…。
病院で専門職として勤めていても「現場に出ずに,椅子にふんぞり返ったり事務仕事に終始する仕事は自分には向かない」ということ。出世して管理職になって現場から距離が遠ざかることより,一生を平職員で過ごして現場で患者を診ていることがどれだけ自分に向いてるか分かった。
毎日,ツラい思いをしながら仕事をしていても,その中で培ったことが,こう言う場で活きているんだと。
我々は「人を笑顔にすること」が仕事なんだと。
例え,何かが見つかっても「でもね…」って言って,希望や笑顔を与えることが我々の本分なんだな。
毎日「ツラい」と連呼してても,それを耐え抜いて腕と見る目を養い,知識を高めることで,本分を全うし「人を笑顔にする」と言うことができるんだな…と。
そう考えたら…いくらでも「ツラい」と嘆いても良い…でも「頑張らなくちゃ」と言うことなんだな。
そして,そのためには自分も笑顔でいること。
自分で言うのもなんだけど,笑顔は良い方だと思ってる。だから,その笑顔を人に分けていくことが,自分の生きる上での課題なんだな。
上手に息抜きして「ホントの笑顔」で仕事ができるようになりたいと思った。
さぁ…この仕事を終えたら…6時間という長い距離と時間だけど何とか耐えて家に帰ってぐっすり寝るのだ♪